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個人再生の別除権協定とは
1 個人再生における別除権協定の概要
別除権協定とは、抵当権等の担保権を有している債権者に対し、一定の条件で支払いを続ける旨の合意をすることで、個人再生をしても担保権が実行されることを防ぎ、財産を守ることができる手段です。
個人再生の手続きにおいては、貸金業者等の債権者は、原則として平等に扱われます。
ただし、別除権を有している債権者は、権利行使によって優先的に弁済を受けることができます。
別除権には、先取特権、質権、抵当権というものがあります。
また、自動車ローンを組んだ際に自動車に設定されている所有権留保も、担保権の一種として実務上別除権と同じように扱われます。
このなかで、個人再生の実務において重要となることが多いのは、抵当権と所有権留保です。
抵当権や所有権留保が実行されると、対象となっている不動産や自動車を失ってしまい、事業運営や生活に支障をきたす可能性があるためです。
以下、別除権協定の締結の仕方について詳しく説明します。
2 別除権協定の締結の仕方
別除権協定は必ず結ぶことができるというものではありません。
個人再生の手続きにおいては、本来的には債権者は平等に扱われなければなりません。
その例外となる別除権協定は、一定の要件を満たさなければ締結することはできません。
具体的には、別除権等を有している債権者との合意を得たうえで、裁判所の許可を受ける必要があります。
まず、債権者との間で、返済金額、返済期間等について協議をします。
通常、債権者から見たら従前よりも不利な条件での返済を受けることになるため、必ずしも合意に至れるとは限らないことに注意が必要です。
次に、裁判所の許可を得る必要があります。
裁判所としては、債権者を平等に扱う必要があります。
その例外である別除権協定を認めるためには、抵当権や所有権留保の対象となっている財産を残す必要性がとても高いと認められなければなりません。
例えば、事業用の資産に抵当権や所有権留保が設定されていて、もしこれらの担保権が実行されてしまうと、事業の継続ができなくなり、結果として他の債権者への返済も困難になるといえるような場合が挙げられます。
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